2012年4月3日火曜日

GDC個別報告会と東京の優位性

ちょっと間が空いてしまいました。IGDA日本代表の小野です。

3月31日に開催したGDC報告会では、200名近い方々にご参加いただき、大変ありがとうございました。ディスカッションでも軽く触れましたが、近年のGDCは周辺領域を巻き込みながら拡大を続けており、もはや全容を掴むのは不可能になっています。

会場では自分を含む9名の講演者の皆様に体験談をご報告いただきましたが、それでもまだまだ全容が掴めたとは言えないでしょう。皆さん、話したりないことが多いのではないかと思います。そこで今年は分野別に3回の個別報告会を開催することになりました。

まず4月15日に予定されているのが、GDC学生報告会です。これは学生の立場でGDCに飛び込んだ参加者が、学生の視点で体験記を語るというものです。当初はラウンドテーブル形式の開催も考えていたのですが、4月からゲーム開発者会社に就職した高砂君の発案で、講演会形式で行うことになりました。どれくらい参加者が集まるか不明だったのですが、すでに40名の入場者を集めて満員御礼となりました。また会場をご提供いただいたCRI・ミドルウェア様にも改めて御礼を申しあげます。

翌週の4月22日には、グローカリぜーション部会からGDCローカリゼーションサミット報告会をお届けします。ご存じの通り今日のゲームビジネスにおいて、海外展開は大作ゲームからアプリやソーシャルゲームに致るまで、重要なトピックの一つとなっています。当日はゲーム業界で長くローカリゼーションに携わってきたベテラン世話人が半日かけてガッツリと海外の先進事例をご報告します。まだチケットに余裕がありますので、ぜひご参加くださいませ。こちらはサイバーコネクトツー東京スタジオ様で開催します。たいへんありがとうございました。

そして月末にはオーディオ専門の報告会も予定しています。GDCオーディオ部門のセッション参加者を中心に、専門性の高い報告会ができるかと思います。CEDECなどでもオーディオ関係のセッションは少ないだけに、是非ご期待いただければと思います。

さて、このように個別の報告会がフットワーク軽く開けるというのは、一つには講師として手をあげていただける開発者の皆様の存在があります。情報や知見を企業を越えて共有しよういう試みに快くご賛同いただき、大変感謝しております。

そしてもう一つは東京という場所の利便性です。世界にはシリコンバレーやモントリオールなど、ゲーム開発会社が集まるクラスターが幾つかありますが、東京ほど開発会社が集結し、かつその国を代表するような開発クラスターは、存在しないと言って良いでしょう。だからこそ、飲み会でもセミナーでも誰かが手を上げれば、すぐに集まることができて、大きな波及効果がみこめます。

逆にデメリットとして、世界有数の地価と人件費の高さがあります。今の世の中、単純に開発スタジオを運営するだけなら、 東京にいる意味はほとんどないと言って良いでしょう。だからこそ、山手線周辺地域に大量のゲーム開発者がまとまって存在する特性をフルに生かして、生産性の高いゲーム作りを行う必要がある。つまり企業の枠を越えて、すぐに集まれる利便性を生かさなければ、きわめて損だという意味です。

IGDA日本ではこうした地域の優位性をさらに生かすべく、今後もさまざまな活動を進めていきます。ご期待ください。